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  • 向井了一社会保険労務士事務所

企業が知っておきたい、介護休業の基本


日本では高齢化が更に進み、「団塊の世代」の全員が75歳以上となる2025年には、およそ5.5人に1人が75歳以上の高齢者となり、認知症の高齢者の割合や、世帯主が高齢者の単独世帯・夫婦のみの世帯の割合が増加していくと推計されています。 企業でも、従業員が介護者になることが増えていくでしょう。 介護は育児と異なり突発的に問題が発生し、介護を行う期間・方策も多種多様であることから、仕事と介護の両立が困難となるケースも考えられます。 今回は、仕事と介護の両立支援制度でもある「介護休業」について、企業が知っておきたい基本をご紹介します。 介護休業の基本 介護休業とは、労働者が要介護状態(※)にある家族を介護するための休業をいいます。 「要介護状態」とは 負傷や疾病、あるいは身体上や精神上の障害により、2週間以上、常時介護を必要としている状態です。要介護認定を受けていなくても、介護休業の対象となり得ます。 【常時介護を必要とする状態に関する判断基準】 「常時介護を必要とする状態」とは、以下のいずれかに該当する場合をいいます。 しかし企業としてはこの基準に厳密に従うことにとらわれず、従業員の介護休業の取得が制限されないよう、介護をしている従業員の個々の事情にあわせて、仕事と介護を両立できるよう柔軟に運用することが望まれます。 ・介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。 ・状態①〜⑫のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。

(出典)厚生労働省『男女雇用機会均等法、育児・介護休業法のあらまし』P8 介護休業の対象者・対象家族 介護休業の対象となる労働者、介護休業取得の対象となる家族について説明します。 【対象労働者】 要介護状態にある対象家族を介護する労働者です。 パート・アルバイトなど、期間を定めて雇用されている労働者は、申出時点において、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが決まっていないことが要件となります。

(出典)厚生労働省『介護休業について』 【対象とならない労働者】 ・日雇い労働者 ・労使協定を締結している場合 (入社1年未満の労働者、申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者) 【対象家族】 対象家族は、配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫になり、同居・扶養要件はありません。

(出典)厚生労働省『介護休業について』 介護休業の取得にあたって 介護休業を取得するにあたって、利用期間・回数、申出方法についてご紹介します。 【利用期間・回数】 対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。 日数(93日間)は通算で数えるため、土曜日・日曜日・祝日も含まれます 【申出方法】 1 従業員は、休業開始予定日の2週間前までに企業に書面等で申出をします。申出内容は、下記の内容になります。 ① 申出の年月日 ② 従業員の氏名 ③ 申出に係る対象家族の氏名および従業員との続柄 ④ 申出に係る対象家族が要介護状態にあること ⑤ 休業を開始しようとする日および休業を終了しようとする日 ⑥ 申出に係る対象家族についてのこれまでの介護休業日数 参考・ダウンロード | 厚生労働省『社内様式例 介護休業申出書』 企業は、要介護状態の証明書類の提出を求めることができますが、提出を制度利用の条件とすることはできません。 2 企業は、介護休業の申出がされたときは、下記の内容を従業員に通知します。 ① 介護休業の申出を受けた旨 ② 介護休業開始予定日および介護休業終了予定日 ③ 介護休業の申出を拒む場合には、その旨およびその理由 参考・ダウンロード | 厚生労働省『社内様式例 〔(出生時)育児・介護〕休業取扱通知書』 介護休業中の賃金と、介護休業給付金について 介護休業中の賃金が有給なのか無給なのかは、法令等の定めはなく、企業の規定によります。 また雇用保険の被保険者である従業員が介護休業を取得したときは、収入の減少を補うため、支給要件を満たした場合には介護休業給付金の支給を受けることができます。 【介護休業給付金申請手続の基本的な流れ】 介護休業給付金の手続は、原則として企業を経由して行います。 介護休業給付金の対象となる1回の介護休業期間は、最長3か月となります。

【支給対象者】 介護休業を取得した雇用保険の被保険者で以下にあてはまる場合、支給対象者となります。 ・介護休業を開始する時点で、介護休業終了後に退職することが予定されていない ・介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上ある月が12か月以上ある 【支給対象となる介護休業】 以下の①および②を満たす介護休業では、支給対象となる同じ家族について93日を限度に3回までに限り支給されます。 ①要介護状態にある対象家族を、介護するための休業である ②被保険者が介護休業の期間の初日および末日とする日を事業主に申出を行っており、実際に介護休業を取得していること 【支給要件】 介護休業開始日から起算して1か月ごとに区切った場合の各期間(支給単位期間)について、以下の要件をすべて満たしている場合に支給対象となります。 ①支給単位期間の初日から末日まで継続して被保険者である ②支給単位期間に、就業している日数が10日以下 ③支給単位期間に支給された賃金額が、休業開始時賃金月額の80%未満 【支給額】 各支給対象期間ごとの支給額は、原則下記のとおりとなります。

要介護状態の対象家族を2人体制で介護するケースが増えています。 介護体制が2人であっても、それぞれ介護休業・介護休業給付金の要件を満たしていれば介護休業の同時取得ができ、ともに介護休業給付金を受け取れます。 参考 | 厚生労働省『介護休業給付の内容及び支給申請手続について』 企業が留意しておきたい介護休業のポイント 従業員から介護休業の申出があった際に、知っておきたいポイントを2つご紹介します。 1 介護休業の申出があった場合、拒否することはできない 介護休業は法令等で定められた従業員の権利であり、従業員が必要とする場合には、法令等で定められた要件を満たせば取得できます。就業規則で介護休暇や介護休業に関する規定が定められていなくても、取得の申し出は受けなければなりません。 2 介護休業中は、社会保険料が免除されない 介護休業については、従業員・企業の社会保険料の免除制度がないため、介護休業の期間中も通常どおり保険料を納付しなければなりません。 まとめ 経験を積んだ熟練従業員や管理職など企業の中核となる人材が、仕事と介護の両立に悩み離職してしまうことは、企業にとって大きな損失になります。 企業による仕事と介護の両立支援は、離職する従業員や心身ともにストレスを抱える従業員を減らす取り組みにつながります。介護休業を取得する従業員が発生する前に、どのような対応を行っていくのかを事前に確認されることをおすすめします。

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