労基署調査でまず確認する3つのこと
- 向井了一

- 6月5日
- 読了時間: 4分

労働基準監督署からの調査通知が届いたとき、
多くの社長や人事担当者は「何を準備すればいいのか」と頭が真っ白になります。
でも正直に言うと、調査当日に慌てても、もう遅い。
大切なのは、調査が来る「前」の備えと、
来たときに「何を確認するか」という視点を持っておくことです。
私が調査対応の相談を受けるとき、まず確認することが3つあります。
1. この労基署調査、なぜ来たのか?
調査には大きく分けて、定期監督・申告監督・災害調査があります。
定期監督:監督署が計画的に実施するもの
申告監督:誰かが監督署に申告・相談した結果として来るもの
災害調査:労災事故が発生した際に行われるもの
どの調査で来られたのか、全部わかるわけではありませんが、わかる範囲で確認することが大事です。
監督官に「この調査は定期的なものでしょうか?」と聞いてみるだけで、見えてくるものがあります。
退職した従業員が申告したのか、在籍中の従業員からの相談なのか、それとも計画的なものなのか。
きっかけを探ることで、調査の焦点がどこにあるのかが少し見えてきます。
「聞いてもいいの?」と思う方もいますが、聞ける範囲で確認することは何もおかしなことではありません。社労士が同席していれば、自然な流れで確認できます。
2. 監督官の「温度感」を読む
監督官にも個性があります。
そして、同じ調査でも「淡々と書類を確認する調査」と「明らかに何かを調べようとしている調査」では、対応のしかたが変わってきます。
最初の挨拶、質問の仕方、書類の見方。
そういった一つひとつから、この調査がどのくらいの熱量で行われているのかを感じ取ることが重要です。
熱量が高い調査=何らかの情報や問題意識を持ってきている可能性があります。
逆に言えば、普段からきちんと整備されている会社は、温度感が高い調査でも「見せられる状態」にあるわけです。
3. 提出書類に「空白」はないか
調査では必ずといっていいほど、以下の書類の提示・提出を求められます。
就業規則
労働条件通知書(雇用契約書)
賃金台帳
タイムカードなどの労働時間の記録
36協定の締結・届出状況(※後述)
健康診断の実施記録
年次有給休暇管理簿
「ない」「作っていない」「出せない」という状況は、それ自体がアウトです。
ただし、36協定については少し補足があります。仮に直近1年間の届出が未提出だったとしても、最初の監督署への出頭日までに提出する姿勢を見せることが大切です。
「気づいた時点で動いている」という事実は、監督官の心証に影響します。隠すより、正直に対処する姿勢が、結果的に会社を守ります。
実際には、調査をきっかけに整備を進める会社も少なくありません。それ自体は恥ずかしいことではありません。
ただ、絶対にやってはいけないのが虚偽の申告です。できていないなら、できていないと正直に伝える。是正勧告書や指導票を受け取ることになっても、それは会社が正直に向き合った証です。そこからきちんと環境を整えていくことが、本当の意味での会社づくりにつながります。
結局、調査は「普段」が全て
3つを振り返ると、共通して言えることがあります。
調査当日にできることは、実はほとんどない。
監督官のきっかけを探ることも、温度感を読むことも、書類を出すことも、すべては「普段どう準備しているか」の延長線上にあります。
調査は突然来ます。でも、準備は今日からできます。
「うちは大丈夫だろう」と思っている会社ほど、いざというときに慌てるのを私は何度も見てきました。
私は、労基署調査を「試験」だとは考えていません。
調査は、会社が従業員との約束を守れているかを確認する機会です。
是正勧告を受けること自体が問題なのではありません。
指摘を受けた後に、改善する意思があるかどうか。
私はそこに、会社の本当の姿が表れると思っています。
気になることがあれば、調査が来る前にぜひ一度、専門家に相談してみてください。
この記事は、実際の労基署調査対応の経験をもとに、社会保険労務士の視点から執筆しています。




















_edited.png)
コメント